不法所得目的による無効
不法所得目的による無効
民法として「一般原則」による契約に付いて「無効」とは「誰からの行為または主張がなくとも最初から当然に法律的な効果が生じないことが確定していること」と定めています。
簡単に解釈しますと「当事者の意図したことは生じません」といった意味になると思います。
主なものを挙げてみますと「意思能力、強行規定、反社会性、心裡留保、虚偽、錯誤」として「民法90条から95条」にわたり定めています。
また「無効」とするもう一つの要件として「取消」(民法96条)が挙げられます。
これを民法では「意思能力を有さずまたは意思能力が不完全なものを一律、画一的に行為無能者として、その者のなした行為は、意思能力の有無にかかわらず常に取消すことができる」として定めています。
今回、テーマとして「不法所得目的による無効」を約款から取り上げました。
「取消」には「瑕疵ある意思表示」、「強迫による意思表示」として定めておりますが、生命保険の「約款」によると「無効とする詐欺」については、「詐欺行為を受けた契約当事者の意思表示がなくとも契約は当初から成立しなかったものとする」とした民法での「詐欺による意思表示は取消すことができるにすぎない(民法96条)」とした規定より厳しい内容としています。
また、昭和15年3月14日の東京地方裁判所の判例によりますと「保険会社に対し、被保険者のその疾患を秘して同会社をして被保険者には何らの既往症がないもの誤信させ、かつその誤信にもとづく保険契約を締結させようとする故意あることを要する。」と判決が下されています。
(判例より抜粋)これを要約しますと「詐欺による契約」のために
1.保険会社を錯誤に陥れる故意と、その錯誤により保険会社に保険契約を締結させるようとする故意の二段の故意があること
2.替玉契約の如く、真実ではないことを真実であると表示、欺瞞行為があること
3.錯誤により締結を承諾したことなどが必要であると判例は下しています。
(生命保険協会による「約款と法律」から)それでは、各社の約款より「不法所得とする無効」に対して抜粋しましたので、考察してみましょう。
○ アリコ・ジャパン「詐欺および不法所得目的による無効」(平成18年4月2日改正)
保険契約の締結、復活または保険金額の増額に際して保険契約者または被保険者に詐欺の行為があったときは、保険契約は無効とし、すでに払い込んだ保険料は払い戻しません。○ 住友生命「不法所得目的による無効」(記載ナシ)保険契約者が保険金を不法に所得する目的または他人に保険金を不法に所得される目的をもって保険契約を締結もしくは復活したときまたは保険金を増額したときは、その保険契約は無効とし、受け取った保険料は払いもどしません。
○ フコク生命「不法所得目的による無効」(平成16年4月改定)
保険契約者または被保険者の詐欺により保険契約を締結または復活したときは、その保険契約は無効とし、すでに払い込んだ保険料は払い戻しません。○ 大同生命「詐欺および不法所得目的による契約の無効」(平成18年5月改正)
保険契約者または被保険者の詐欺によって、契約の締結、契約の復活または契約の復旧が行なわれた場合には、保険契約は無効とし、すでに払い込まれた保険料は払い戻しません。
「詐欺」として締結された保険契約による保険料は、保険料の返還を保険契約者に戻すことは、経済的負担の危険を犯すことなく詐欺が行なえることにもなり、発覚したとしても、安易な気持ちを持たせるとものとして詐欺に課した制裁的な意味合いを持つものとして定めています。
このことを併せて考察しますと、上記3社に付いては、「すでに払い込んだ保険料は払い戻しません。」とし、住友生命のみ「受け取った保険料は払いもどしません。」としています。
また、全社の解釈で「保険契約者または被保険者の詐欺により」と詐欺と不法所得目的を同一の無効原因として要件に含めています。
では「復活」をした場合「すでに払い込まれた保険料」とした場合には、「以後の払込み保険料」とすることが妥当ではないかと感じました。
さて、関連することに話題を変えたいと思います。
保険契約として「契約」とは、生命保険会社と保険契約者による約束(合意)若しくは「承諾し成立する」とした「諾成契約性」とした契約性とした概念があります。
「約束」として互いに約束に責任を感じ、守り、信じて生活を円滑に送ることが社会秩序ともしております。
これは、個人個人の恣意的に自分勝手に裁量を任せて良いわけではないため「法律」の必要性が生じるのです。
「約束」とは個人同士の決め事でもあり、また生命保険会社と個人のように、経済力や知識水準の隔たりがある場合、すべての人々が自己の意思に基づく「自由により契約」が締結することができるよう標準的な要件を定めることが必要となるのです。
これを保険業法として課しているのです。
「民法による底流として「契約自由の法則」を挙げた場合、自由に締結が至るまでの課程におけることを指しているに過ぎませんが、生命保険も同様に一旦、契約を締結した場合、その契約性に従い拘束力が生じることにもなります。
そこで必要に応じて制限的措置がとられるわけなのです(生命保険協会による「約款と法律」から)。」今回、取り上げました「不法所得目的による無効」に付いても云えることです。
生命保険契約とは、「信義誠実を遵守」の上に築かれていることが、原理法規としての私法たる所以なのです。
しかし、後を絶たない「告知義務違反」とした「解除」、「取消」としたことによる議論を法律として解釈するならば、保険契約そのものの要素ではなく、「告知義務違反」が錯誤により保険会社を必ずしも騙す目的でなく、また詐欺行為の取消として生じるわけではないとしていることです。
これは、今回のテーマと関連した要因です。
生命保険の「約款」では、数多くの要件と法律的な解釈が、私法法規として条項に定めています。
単に扱う契約書とは、訳が違うものですからこそ「精読すること」、「調べてみること」、そして「実践として」多くのお客様に伝えるべく要件が含まれたものなのです。
これが「普通契約条款(正式名所で、短縮して「約款」と申しています。)」なのです。
ですから、自社の約款を種別ごとに一度、通して精読をして見て下さい。
「必ずや、心に残る条文があるはずです。」 これを従えてお客様に保険談義としていいものです。
2007.4.作成
by 約款マン