保険契約者貸付
保険契約者に対する貸付…保険契約を担保にした契約者貸付制度
今回のテーマ「契約者貸付制度」を取上げてみました。
生命保険の契約では、非常に長期にわたるものです。そのため一時的に資金が必要な場合があると想定し考えられたと生命保険会社側では考えたわけです。ですが、保険は本来、保障を継続することが目的でもあるわけです。
そこで、保険契約者の資金需要にも応じるため、解約返戻金の範囲内として貸付を受けることが出来る規定(条項)をつくったのが始まりです。但し、契約者に「貸付」をする訳ですので利息を徴収することにしました。
このこともあまり知らない方がいると思いましたので、少しだけご詳しく説明をしてみます。
保険会社では、貸付をした日から生命保険会社ごとに若干の違いがあるようですが1年毎に貸付をした日を貸付日(貸付後の1年毎の月日)として1年ごとに利息を繰り入れ、返済をする時には利息を計算する。後払い方式を採用しております。
また、なぜ「自分の解約払戻金から借りて利息を取られるの?」といった疑問が生じます。
2つの性質がることをお客様にお伝えください。1つが相殺予約付金銭消費貸借、2つ目が前払いとみることです。
1番目については、将来契約から生じる保険金の請求や解約払戻金による解約に対する相殺とした考え、もうひとつが保険金および給付金の支払原資の一部の前払いとする考え方としております。(例えば、猶予期間中による事故などにより未払い保険料を支払い金から差引き保険契約を維持する制度がある)
さて、本題に入ります。
現在、生命保険会社が販売をしている保険商品に、従来である積立型とした商品に異変が起こりました。貯蓄が出来る、高いと云われた終身保険・長期型の定期保険などが「低解約型」「抑制型」と言われる保険商品に移行しつづあることなのです。商品の説明を詳しく説明しましょう。
今まで保険商品と言えば、保険を継続し掛け続けます、すると「解約払戻金」というお金が貯まります(積立の場合)。ですが、「低解約型、抑制型」では、商品ごとに応じ「解約払戻金の返戻金を低くする期間(5・10・15・20年など)」を設けてその間の解約返戻金は少なくし、その後保険料の払込が終了(払込みが終わる場合、または満期)した暁には本来お客様が、低解約型でない契約と同じ「解約返戻金」が戻る仕組みになっているのです。
利点は保険料(掛金)が安くなることです。通常の3割程度安くなる商品が多いのではないでしょうか。保険商品は保障(死亡保険金)がまず大切です。ですが継続をする旨にお金が急に必要とした場合があるとします。
しかし、解約返戻金が抑制されたこの「抑制型」では、その時期には契約者貸付の可能額が少なくなってしまいという弊害も生じてしまいます。
では、各社による「契約者貸付」に対し名称及び条文を約款より抜粋をしました。ご覧下さい。
※ 約款による目次の名称です。
※ 保険契約者に対する貸付
東京海上日動あんしん生命 「2003年10月版の約款より」
保険契約者は、主契約の解約払戻金(各種特約の解約払戻金を含みます。)の9割(保険料払込済の契約については、8割とし、また、保険料の自動振替貸付または本条の貸付があるときはその元利金を差し引きます。)の範囲内で貸付を受けることができます。(1)本条の貸付金の利息は、会社所定の利率により複利で計算します。※ 契約者に対する貸付
マスミューチャアル生命 「2002年4月作成の約款より」
契約者は、払込金の支払の第1項の払戻金額の8割(保険料の振替貸付)または本条の貸付がある場合には、払戻金額の8割からその貸付の元利金を差し引いた残額。)の範囲内で、会社の定めた利率によって、貸付を受けることができます。※ 契約者貸付
ソニー生命 「平成16年4月作成の約款より」
保険契約者は、解約払戻金(保険料の自動振替貸付または本条の貸付があるときは、その元利金を差引いた残額。)の会社所定の範囲内で貸付を受けることができます。(1)本条の貸付金の利息は、会社所定の利率で計算します。※ 保険契約者に対する貸付け
明治安田生命 「2005年10月作成の約款より」
保険契約者は、当会社の定めるところにより、返戻金の額(自動振替貸付がある場合には、その貸付金の元利合計額を差引いた残額とします。)の所定の範囲内で、当会社の定める利率で貸付けを受けることができます。※ 契約者に対する現金貸付および貸付金の返済
大同生命 「平成17年1月作成の約款より」
契約者は、当会社の定めた借用条項にもづいて、解約払戻金の9割(保険料払込済の契約については、8割し、また、すでに自動貸付金があった場合には、その元利合計額を差し引きます。)の範囲内で、現金貸付を受けることができます。尚、現金貸付金の利息は、当会社の定めた利率によって、貸付を行なった日の翌日から計算し、貸付を行なった日の毎年の応当日ごとに元金に繰り入れます。
取扱いとした各社でも違いがあることが規定内容から読み取れますでしょうか。
会社によっては「現金貸付」と謳(うた)った会社もあるほど非常に直接的な条文として記載されていることに感心致しました。
さて、ここで税務上での「契約者貸付をしていた場合」での通達として関連する事柄を幾つかご紹介をします。
生命保険契約には、契約形態として一般的に保険契約者及び被保険者が同一として受取人が法定相続人とした場合、不慮の事故による被保険者が死亡及び高度障害状態になった場合での保険契約に「契約者貸付」があった場合の取扱いでは、次のようになります。死亡保険金がみなし相続財産とした場合には「契約者貸付金」の元利金の額に相当する保険金及び契約者貸付に相当す
る債務はいずれもなかったこととされ(相基通3-9)差額(残額)に対し相続税が課せられるとしております。
満期がある生命保険にも通達の定めがあります。保険金等がみなし贈与財産とした場合では「契約者貸付金」は、契約者に対する一時金として保険金額から相殺される保険金は、一時所得の対象とし(所基通34-1(4))保険契約より利益を受けた満期保険金の受取人に付いて、贈与財産として贈与税の対象となる(所基通5-1)としております。
相続税で、生命保険金がみなし相続財産とされる場合については、貸付金に対するお咎めなしと考えると営業上での手法は使えるのではないでしょうか?
「約款」には宝が埋もれています。
by 約款マン